冬の杖
2015年 01月 17日
1月も、すでに半分が過ぎてしまった。
春までのしばらくのあいだ、工房の関係で作陶はお休み。
水が冷た〰いとかブツブツ言いながらも作業していた、いつもの真冬がいとおしい。
寒さと家族のこともあり、なかなか休みの外出も控えがちな今日この頃。
肺炎、ノロウイルス、インフルエンザ、放射能、セシウム、食品異物混入、、etc
聞こえてくる様々な陰鬱な情報が、なおもこの冬を重苦しくしてくれる。
あれほどかたくなに拒んでいた杖を、母がつくことを決めた。
初詣の帰り、あまりにも歩行困難で息が上がっているので、
それは突然というより緊急(いつも)、、だから1000円ショップで。
『ね、楽でしょう。でもちょっと長いね・・・今度ちゃんとしたの買うからね』
『楽ちん、、長くないよ・・・ほら』 と、チャップリンのようにおどけ無理に元気をよそおう。
ゆっくりと、ゆっくりと歩く、久しぶりの長い地蔵通り。
新年の賑わう喧騒をよそに、ネジを巻き終わった時計の突然の作動のようだったかもしれない。
すると母が突然立ち止まり、杖をちょっと前に上げつぶやいた。
『私も、あれがしたかった、、。』
『あれって何よ?』
通り過ぎた、腕をささえ組みながら歩く老夫婦の姿。
『・・・福ちゃんが生きていたら、あれが出来たのに~』
母はわがままな女の子だ。
私はとてもせつなくなった。
by toyokoID
| 2015-01-17 12:30
| 陶芸ごと